金型・部品加工業専門コンサルティング

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株式会社オオタ精密のコンサルティング事例(型技術2019年4月号掲載)

株式会社オオタ精密のコンサルティング事例(型技術2019年4月号掲載)

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本号で紹介する機械加工メーカーは株式会社オオタ精密(愛知県豊川市 TEL0533-65-9572)である。本誌にて登場するのは今回で2度目である。

 

同社はマシニングセンターや汎用フライスなどを使って、中部地方の機械設備メーカーなどで使用される機械部品などのフライス加工を主力事業としている。

 

昨年からは、前回の本誌登場時に紹介したように、3次元CAMであるhyperMILLの導入により、それを用いた3D加工にも力を入れている。

図1 同社の加工した鋳造用金型

 

図1は鋳造用の金型の写真であり、この事例では製品モデリングから対応し、抜き勾配を付けた金型モデリングとその加工まで自社で行っている。

 

同社の強み

同社の加工の強みとして、コストと品質のバランスに配慮した、最適な機械の使い分けを行っている点がある。

 

補助金の活用などにより、同社はマシニングセンターの増設を行っているが、フライス加工全てをマシニングセンターだけで行っているわけではない。

 

使用する工具の本数、加工する穴の数、使用するエンドミルの本数などによって、汎用フライスとマシニングセンターを適切に使い分けており、これによって最適な工数で加工を行うことを徹底している。

 

昨今の金型メーカーの課題

筆者が金型メーカーをコンサルティングさせていただいている中で、まさにこの点について課題だと思うことがある。

 

その課題とは、CAMデータ作成とマシニングセンターのオペレーション業務の分業化が進み、例えば、片手サイズのプレートにキリ穴を2、3か所加工するような内容のフライス加工についても、CAMオペレーターが加工プログラムと加工指示書の作成を行い、それを受け取ったマシニングオペレーターがワークとプログラムを機械にセットして加工を行うといった、コスト面からはやや過剰とも思えるプロセスを踏んでいる点である。

 

こうしたプロセスはミスの発生防止には効果は高いが、図面を見ながら汎用フライスで手早く済ませてしまう場合の工数と、CAMデータを作成し加工指示書まで作って加工者に渡す分業での工数とを比較すると、圧倒的に汎用フライスの方が早いと思われる。

 

もちろん汎用フライスはうっかりミスのリスクがつきまとう。しかし両者の工数の差を考慮すると、例えば片手サイズのプレートであれば、ミスした時のために材料を余分に買っておいたとしても、加工部品によっては汎用フライスの方が安くできるかもしれない。そのくらい両者の工数には差があると考えている。

 

したがって加工コストの最適化のためには、CAMとマシニングオペレーターの分業について、その程度を少し抑えていくことが望ましいと考えている。

 

具体的には、マシニングセンターの手動機能を活用し汎用フライスのように利用する。簡単な穴加工や切削加工についてはハンドル送りで対応するなど、過度にCAMに依存しないことが、金型メーカーのフライス加工の工数削減につながると思われる。

 

もちろん、こうした作業を行うためには、これまでの段取り作業には重要視されなかった加工や工具に関する知識が必要になってくるため、教育によるオペレーターのスキルUPが必要になる。

 

汎用フライスとマシニングセンターのあるべき使い分け

では、汎用フライスとマシニングセンター、それぞれの持ち味を活かす使い分けとしてどのように考えれば良いのか。

 

そもそも、マシニングセンターの強みを発揮できる場面は、次のようなケースである。

  • 同じものを複数個加工するとき。
  • 使用する工具の本数が多い加工のとき。
  • 荒取りの切削体積ボリュームが多い加工のとき。
  • 高送りカッターや超硬ドリル、チップ式ドリルなど、市販の高能率工具が使用できるとき。
  • 自由曲面など3次元の加工を行うとき。
  • 長時間の無人加工を行うとき。

 

逆に、上記のマシニングセンターの強みが発揮できるケース以外の加工では、汎用フライスの強みが発揮できると場面だと言える。

 

例えば、次のようなケースである。

  • 試作品など、少量の加工のとき。
  • 多くても2、3本の工具で済む加工のとき。
  • 手動ハンドルによる手送りでエンドミル加工を行うとき。
  • 強くクランプできない異形ワークの加工などで、切削負荷を調整しながら加工したいようなとき。

 

これら汎用フライスの良さは、加工を始めるまでの時間がとても短いという点である。ハンドル送りによる加工などは、段取りしてすぐに加工を始めることができる。

 

また手送りによるエンドミル加工では、とかくマシニングセンターでは送り速度やロードメーターなど数値でしか判断できない切削負荷について、実際に手に負荷としてかかってくる切削抵抗を肌で感じとりながら、送り速度の調整を行うことができる。

 

こうした点についても、汎用フライスの経験のない最近の若手加工者が加工条件の限界がわからないといった弊害につながっていると筆者は考えている。

 

同社では昨年、未経験の若手社員が入社したが、いきなりマシニングセンターを担当させるのではなく、あえて汎用フライスから担当させることで、加工限界を理解した伸びしろのある加工者に育てる配慮をしている。

 

同社へのコンサルティング

前述したように同社は現在、金型加工に力を入れている。しかしながら、そのノウハウはまだ持っていなかったため、同じhyperMILLを使用している筆者がサポートを行うことになった。

 

コンサルティングのポイントは、微細な溝加工など金型加工特有の特殊な加工についてであった。特に微細な溝加工は、用いるボールエンドミルの加工条件の選定が難しい。

図2 鋳造用金型の微細な溝部を加工しているパス

 

筆者が金型メーカーのCAMオペレーターの作業を拝見させていただくときに気になるのが、パスの形状に関係なく、一律に工具カタログの条件どおりの送り速度を使っている点である。

 

今回の鋳造用金型にあるような微細な溝部では、工具カタログにあるような、推奨速度までは出ない。したがって機械の動作速度に配慮し、機械が追従できる送り速度に設定するのがCAMオペレーターのテクニックである。

 

一般的な機械部品の3D加工には慣れている同社であったが、今回のコンサルティングではこのような金型特有の形状加工への配慮を中心にアドバイスを行った。

 

今後の同社の成長戦略

同社は昨年、3次元測定機の導入を行い、従来よりもさらに精密で複雑な部品の加工についても保証できる体制を整えることができた。

 

今後同社の成長戦略として、これまでに受託してきた部品とは異なる機械加工に対応するため、これまで導入してきた立形マシニングだけではなく、横型マシニングや5軸マシニングなどの導入も視野に入れている。

 

同社の用いるhyperMILLは、5軸加工を最も得意とするため、今後同社が5軸マシニングを導入すれば、その強みを最大限に発揮することもできる。

 

これらの設備計画により、溶接製缶品や鋳物部品などの機械加工へも力を入れていく検討をしている。

 

最新のCAD/CAMやマシニングセンターを設備しながらも、それを扱う加工技術者の能力をフルに活かす機械の使い分けにより、競争力を高めていこうとする同社に、筆者は大きな期待をしている。

 

 

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング

代表:村上 英樹(中小企業診断士)

愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

 

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