【自己啓発シリーズ⑨】金型メーカー・部品加工メーカーの処世術(勝ち組社員になるために)

【改訂版】責任感や使命感の薄い社員にどう対処する?
目次

【自己啓発シリーズ⑨】金型メーカー・部品加工メーカーの処世術(勝ち組社員になるために)

【テーマ】タイパ・コスパにこだわり過ぎない

今回の内容を読んだ後に取り組める実践ワークは次のものになります。

  • あなたは普段のお仕事をするうえで、タイムパフォーマンスやコストパフォーマンスにこだわる方ですか、そうではない方ですか。
  • タイパ・コスパにこだわった仕事をするメリットは何だと思いますか。
  • 逆に、仕事でタイパ・コスパにこだわることのデメリットは何だと思いますか。

今回のテーマは、以前本編のコラムでも取り扱ったことのある、タイパ・コスパ、いわゆるタイムパフォーマンスやコストパフォーマンスについてです。

本編の方では、金型メーカーや部品加工メーカーでお仕事をするうえで、タイパ・コスパにこだわり過ぎると、底の浅いスキルしか持たないエンジニアになってしまうリスクがあるというお話でしたが、このコーナーは、金型メーカーや部品加工メーカーにおける処世術ということですので、勝ち組社員を目指すという観点から、どのような弊害を生むかを見てきたいと思います。

弊害と書きましたが、まずメリット面から考えていくと、金型メーカーや部品加工メーカーにおいても、働き方改革や仕事と家庭の両立といったような労働者保護の政策が徐々に浸透してきており、ますます仕事にかける時間をスリム化、絞っていくことが従来よりも求められています。そのため、より効率よく仕事をすることや、仕事を効率よく覚えていくことなどが求められています。

したがってメリット面としては、タイムパフォーマンスや、作業にかかる工数をコストと見るならば、そのコストパフォーマンスを意識することで、会社としては安く早くモノを作ることができ、働く社員さんとしては、よりプライベートに回せる時間を捻出していくことができるということになります。

一方、今回のメインテーマであるデメリット面、弊害は何かを見ていきますと、ここで取り上げたいことは、次の2つです。

  1. 失敗経験が減ってしまう
  2. 持ちつ持たれつが形成されない

失敗経験が減ってしまう

まず一つ目の弊害は、「失敗経験が減ってしまう」ことです。

「経験を積む」ということは、「失敗の数を重ねること」だと言っても過言ではありません。

その理由として、例えば マシニングセンターにおけるエンドミル加工の条件などは、工具を折ったり、ワークを飛ばすなどの失敗をして、初めて加工の限界を知ることができます。

ただし、ミーリングチェックを締め忘れたとか、突き出し長さを間違えたとか、そういったポカミスではなく、送り速度でチャレンジして折れたなど、「攻めた」あげく折れた経験です。

これを、タイパ・コスパにこだわり、カタログ条件よりもさらに落として、安全に安全に、とにかく失敗しないことを最優先に加工していると、いざ急いで完成させなければいけないときなど、ギリギリの条件が出したいときに出せる、引き出しの多いエース社員になることはできません。

つまり、やや底の浅い加工者になってしまうということです。

エンドミル加工に限らず、設計業務や、組み立て・トライなどのハンドワーク作業でも同様だと思います。

チャレンジをせずに「成功」体験しか持っていないと、それはそれでミスやトラブルのない作業者という評価を得ることはできるかもしれませんが、やはりここ一番、瞬発力を発揮したいときにその引き出しが無かったり、新しいことを発案するときの根拠が薄くなります。

特に、新しい方法の発案とその採用の判断においては、「失敗」経験ほど頼りになるものはありません。許容値がわかるからです。

うまくいった「成功」経験しかないと、「どこまでいける?」の許容判断は、その成功したところまでしかありません。

この「許容値」こそが会社の「競争力」だとも言えます。

つまり、「この会社はここまで早くできる」とか「ここまで細い加工ができる」、「ここまで大きなサイズを扱うことができる」など、この「どこまでできる?」は、失敗経験とそれを踏まえた成功体験による「確認」によって確立されます(失敗の後の検証も必要です)。

したがって例えば、タイパ・コスパにこだわるあまり、上司や先輩に頼り、教えてもらってばかりいると、成功体験しか積むことができず、結局自分の判断での「どこまでいける?」が身につかず、底の浅い技術者になってしまうことが考えられます。

もちろんわざと失敗してくださいということではありません。タイパ・コスパにこだわって、チャレンジしない・攻めないということが良くないということです。

ポイントは、「どこまでいけるか?」「どこまでできるか?」を、自分の経験で知る、ということです。

ちなみに、わざとエンドミルを折ることでもありません。例えば加工条件を上げてみて、ビビリ音などにより、直前で条件を戻すというのは賢明な判断だと言えます。

あくまで目的は「どこまでいけるか?」を知ることです。ある種、チキンレースのようなものですね。行けるところまで行った人の勝ちだということです。

持ちつ持たれつが形成されない

次は、「持ちつ持たれつが形成されない」です。

これについては前提となる考え方がありまして、「人に助けてもらおうと思ったら、3倍は手を貸すくらいでちょうどいい。」と思っています。つまり「ある人を3回助けたら、ようやくその人に1回助けてもらえる」と思うくらいでちょうどいいということです。

職場全員がこういう気持ちで仕事ができれば、全員が助け合いの精神を持つ、とても雰囲気が良くバランスの取れた職場になるのではないでしょうか。

また個人で考えても、このくらいが、適度に人にコミュニケーションをとりつつ、過度に甘え過ぎないバランスになるのではないかと思います。

さて、こうした理想的なコミュニケーション関係を築くことを目指していく中で、今回のテーマで取り扱っている、タイパ・コスパにこだわって仕事をしていると、こうした人を助ける行動が希薄になってくることが考えられます。

結果、自分の周りや、会社全体に、「持ちつ持たれつが形成されない」ということになってきます。

こういった問題を考えるときは、短期長期、2つの目線に分けて考えることが重要です。

タイパ・コスパにこだわって、時間を有効に使って仕事とプライベートを充実させていく発想は短期的なものです。一方、職場に「持ちつ持たれつ」を醸成して、皆が助け合う風土を形成していく発想は長期的な目線によるものです。

ですから、この短期的なものと長期に考えていく業務を一緒にしてはいけないということです。

もちろん短期的な目線で、タイパ・コスパにこだわった方が良い業務もあります。例えば、人とあまりかかわらず、しかも技能やスキルの醸成にあまり関係のない間接業務などです。コピーを取るとか、定型的な入力作業とか、事務的なメールのやり取りや、定型的な発注業務などが考えられます。

こういった仕事は、最小限の時間で行えるよう、タイパ・コスパを意識して、業務を効率化させていくべきでしょう。IT化は会社としても望むところだと思います。こういった活動・行動は、処世術的にも、会社で評価されるべき対象になるものです。

まとめ(勝ち組社員になるために)

さて、まとめになりますが、前述しましたように、タイパ・コスパの意識は一切不要とは思っていません。

むしろ、これからの金型メーカーや部品加工メーカーにおける労務面から見た働き方としては、さらにもっと必要になっていくものと思われます。

例えば、IT導入による効率化はその代表例です。

ですが、一人の社会人として成長していく観点からは、特に今回挙げた2点(失敗経験が減ってしまう・持ちつ持たれつが形成されない)において、中長期的な視点で弊害を生む可能性が高いということです。

したがって、今回挙げた2点にあたる場面に出くわした時だけは、少しタイパ・コスパを緩めてみるというのはいかがでしょうか。

処世術という点で、一騎当千タイプ、名采配タイプ、いずれを目指すにおいても、今回挙げた2点は外せない項目です。

したがって、場面に応じて「タイパ・コスパにこだわり過ぎない」を使い分ける器用さを持つことは、金型メーカーや部品加工メーカーにおける処世術として、勝ち組社員になるために、重要だということですね。

参考になれば幸いです。

※ 会社ごとに評価の基準も異なるため、本内容は結果を保証するものではありませんのでご了承ください。

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

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