金型・部品加工業専門コンサルティング

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【ドリルの適正な加工条件】CAD/CAMの罠に陥っていませんか?

FAQ

【ドリルの適正な加工条件】CAD/CAMの罠に陥っていませんか?

ドリル加工後の切りくず

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たいへん便利なCAD/CAMですが、その反面、罠に陥りやすい面もあります。

御社は、その罠にはまっていませんか?

 

例えば、ドリル加工です。

 

私が加工屋さんの技術・経営診断をさせていただくと、CAMを使っているものの、そこに登録されている加工条件について、しばらく変更していない、また初期条件のまま変更したことがない、といったところをよく見かけます。

その点、マシニングで使っているドリルはここ十年くらいで変えていませんか?と質問すると、従来からの黒ドリルだけではなく、コーティングハイスドリルや、超硬ドリルなどが使われてたりします。

 

そうなると、当然、エンドミルと同様、それぞれCAMの設定の中で、加工条件を使い分けなければいけないということになるのですが、その設定を使い分けるのは面倒くさいところもあります。

そうしたところもあり、黒ドリルと比較して、目立って加工条件が遅いわけではないと、初期条件のまま使っているところも多いです。

 

しかし、そもそも黒ドリルの加工条件からして、適切でないことに気付いてますでしょうか。

 

ここで質問です。下記の事例において、どちらの切りくずが良好でしょうか。

 

  1. 2本の切りくずが同じ長さで出てきて、細長くつながり、しばらく途切れず均等に出ている。
  2. プチプチと短く切れながら、出てくる。

 

どうでしょう、最近はドリルを手で研ぐことが少なくなりましたが、私と同じ世代の方々は特に、ベテランの先輩から手研ぎを教えてもらった際、上記1.で教えてもらった方が多いと思います。

 

切りくずが、2本同じ長さでつながって出てくるのは、うまく研げた証拠だ、と言った具合です。

しかし、これは逆で、上記2.の状態の方が適正です。

 

上記1.は、送り条件が遅いため、切りくずの厚みが薄くなり、長くつながった切りくずになりますが、特にマシニング加工において、こうした切りくずは、ドリル本体に絡まりやすく、詰まりの原因になります。

 

逆に、上記2.の状態は、1.の状態よりも送り条件を上げているために、切りくずが厚く、カールした時、折れやすくなっています。

そのため、プチプチと、繋がらずにすぐに切れるのですが、実はこの状態の切りくずの方が、穴からの排出は良くなります。

 

最近、プラスチック金型の冷却穴の加工などでよく使われている、ノンステップドリルもこうした切りくずの排出性を利用しています。

長く絡まる切りくずを出てしまっては、100ミリを超えるような細穴を、ノンステップで加工することは困難です。

 

大変よく使われているコーティングハイスドリルも同様のメカニズムで、こうした短く排出性の良い切りくずをプチプチと出せることで、ドリル溝の深さを浅くし、芯厚と呼ばれるドリル本体の断面積を多くして剛性を高め、従来の黒ドリルよりも高い送り速度が出せるようにしています。

 

これを、従来の黒ドリルのままの条件で使ったり、良い切りくずは長くつながるものだとして、本来とは違う使い方をしてしまっていては、むしろドリルの寿命を縮めることもあります。(ドリルの摩耗は、被削材との接触時間にも比例します)

 

よくベテラン先輩から教えてもらう時には、「10ミリのドリルなら、回転あたりの送りは0.15ミリだ」とか、「8.6ミリのドリルなら0.12だ」といった、決められたルールのような数値で、「手順の引継ぎ」を受けることが多いです。

 

しかし、「技術者を育成する」の観点からは、適正な加工状態を伝え、その方法を探索させながら教育していく方が、その先の技術力、応用力を育てるためには有効です。

 

標準化された加工条件の数値を「丸暗記」することが、物覚えの良し悪しではありません。

 

 

日々の加工は、仮説と検証の繰り返しです。

 

「この条件で削ればこうなるはず」

「よし、その通りになった」という結果もあれば、「あれ?狙いと違う状態になったぞ」ということがあれば、その次はまた、別の仮説を考え、検証を行います。

 

それができる技術者を育てるには、標準化ルールの暗記能力の育成ではなく、仮説と検証のやり方を教え、その前段となる知識を教えていくことが必要となります。

 

そうした点で、加工条件が標準化されたCAMの活用は、加工の効率化にはつながりますが、良い技術者を育てる点では、副作用になり兼ねない一面も持っています。

 

御社は、ぜひご注意ください。

 

 

金型・部品加工業専門コンサルティング

技術コンサルタントshoei

代表コンサルタント:村上 英樹

 

※ 実際の加工においては、被削材の物性、機械剛性、工具の消耗状態、被削材のクランプ状態などの外的要因で、如何様にも状態は変化するため、実際の対処については、自己責任のうえ、充分な確認・検証を行ったうえで、加工してください。

 

 

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