【自己啓発シリーズ⑫】金型メーカー・部品加工メーカーの処世術(勝ち組社員になるために)

【改訂版】責任感や使命感の薄い社員にどう対処する?
目次

【自己啓発シリーズ⑫】金型メーカー・部品加工メーカーの処世術(勝ち組社員になるために)

【テーマ】前倒し・後ろ詰め、仕事に着手するとき どちらが良いのか?

今回の内容を読んだ後に取り組める実践ワークは次のものになります。

  • あなたが仕事に着手するタイミングの決め方は、前倒し方式ですか、後ろ詰め方式ですか。
  • それぞれの方式のメリット・デメリットを考えてみてください(できるだけそれぞれ複数挙げてみてください)。
  • 会社としては、どちらが望ましいと思いますか。
  • 仕事が溢れてしまってるときは、どちらが良いと思いますか。

市販書籍では「すぐやる人」と銘打った本がよく売れていましたが、金型メーカーや部品加工メーカーにおける「すぐやる人」とはどういった人を指すのでしょうか。

まず、そもそも仕事にいつ着手するのかを決める方法は、次の2つに分類されます。

  1. 後ろ詰め(「いつから始めれば間に合うのか」から決める)
  2. 前倒し(「今日はどこまでやれるか」から決める)

何となく言葉のニュアンスで、②の「前倒し」の方が良さそうな雰囲気ですが、まずそれぞれの違いを見るために、具体例で確認してみましょう。

例えば、ABCという3つの仕事を上司から同時に頼まれたとします。Aの納期が20日後、Bが5日後、Cが30日後だったとします。

このうち作業にかかる日数は、Aが7日、Bが4日、Cが10日という場合、まずBから仕掛からないと危ないのは容易に想定できると思います。

そして、Bが終わったときに5日が経過していたとして、その時にはまだAの納期までは15日間あります。Aの仕事にかかるリードタイムは7日ですので、実際にはまだ仕掛かる必要はないとも言えます。

ですが、他に急いでやる仕事がないのであれば、すぐにAやCの仕事に取り掛かっていくのが②の「前倒し」方式です。

一方、納期からリードタイムを逆算して着手する日を決め、その日が来たら仕掛かっていくのが①の「後ろ詰め」方式です(実際には少し余裕をみて始めると思いますが)。

ですから例えば、Aは納期の7日か8日前とか、Cは納期の10日とか11日前(結果的にAが終わってからすぐ)から着手するというやり方です。

どちらが望ましいか

このうち、②の「前倒し」方式で仕事をする人が、金型メーカーや部品加工メーカーにおける「すぐやる人」だと考えています。

製造現場においても、このやり方の違いで仕事の成果が変わってきます。当事務所としては、以前本編のコラムにも書いたことがありますが、「前倒し」の方が納期遅れを出さない望ましい方法としてオススメしております。

また別の言い方で表現すると、

  • 前倒しで仕事をする人は「もっとたくさん仕事をやって会社に貢献したい」と思う人
  • 後ろ詰め で仕事をする人は「最小限の仕事量で済ませたい」と思っている人が含まれている

とも言えると思います。

とは言え、売り型メーカーなどにおいては、あまり早く着手できない事情もあると思います。お客さんからの設変が入ってくる場合などがあり、あまり早く着手すると、必ず後でひと手間増えたりすることがあります。

したがってこういった場合は、着手できるようになってから、どちらで進めるかという論点になると思います。

それぞれのメリット・デメリット

ここで一旦、金型メーカーや部品加工メーカーにおける、前倒し・後ろ詰め、それぞれのメリット・デメリットを整理してみたいと思います。

まず、前倒しのメリットは次のようなことが考えられます。

  • 先行して終わらせることができれば、納期に対して安心できる。第3者からも信頼されやすい。
  • あまり仕事が詰まっていない時に前倒しできれば、後ろの日程に空きが作れ、営業や経営者が次の仕事を入れることができ喜ばれる。結果会社としても売上を増やすことができる。
  • 後日次の仕事が入って来ても、残っている仕事と入ってきた仕事が重なりにくくなる。
  • 負荷に余裕があるとゆっくりと作業をしたくなってしまうこともあるが、前倒ししようと考えることで、いつも通りの標準工数で終わらせようという動機付けになる。

次に前倒しで仕事をすることのデメリットの方もみていきます。

  • 早めに終わった仕事に設変が入り、修正する羽目になることがある。
  • 後ろ詰めで仕事をする人より、多く仕事を詰め込まれ、シンドクなる可能性がある。
  • 仕事が多く詰まっている時は、一つひとつの仕事にかかる時間を正しく見積もって計画しないと、詰め込み過ぎて締め切り期日を過ぎてしまう仕事が出てしまうリスクがある。

といったところでしょうか。では次に、後ろ詰めの方のメリットをみていきます。

  • それぞれの(工程)納期に合わせて仕事をしていくので、納期管理がわかりやすい。
  • 仕事を多く受けている時は、今以上の仕事は詰め込まれにくくなる(頼まれにくくなる)。
  • ギリギリのスタートをすることで、設変などが入っても、修正するリスクを減らすことができる。

一方、後ろ詰めのデメリットは次のことが考えられます。

  • スケジュールに余裕がある場合、少し早めに着手すると、ゆっくり作業しがちになることもある(リードタイムが伸びる、部品ごとの工数が増える)。
  • 仕事量が少ない場合、スケジュールの空きが見えやすい。結果、間に仕事を入れられやすい。
  • 何かトラブルがあると、納期割れのリスクがある。
  • 前倒し生産と比較すると、出来高は増やしにくい。

これを見ていくと「後ろ詰め」方式の方は、会社としてのメリットはあまり出にくいんですよね。

逆に、あまり仕事を詰め込まれたくないという個人都合に関してはメリットが出てきます。ただしデメリットの方にも書いたように、負荷に余裕がある時は、次の着手するまでの隙間が見えやすくなり、結果そこに仕事を入れられる可能性はありますが(それでまた、ゆっくりやろうという誘因が働いてしまう悪循環もあります)。

会社としての前倒しのメリット

さて、この「前倒し」方式は、分業化が当たり前になってきている、現代の現場のやり方に合ってるというところもあります。

「後ろ詰め」で捌いていく仕事の順番が、後工程にとっても最適な順番とは限らないためです。自分の工程と他の工程で、かかる作業時間や段取り方法が異なるというのが一番の理由です。

というわけで、納期から逆算した日程よりも先に先に後工程に回していく「前倒し」方式によって、後工程にとっては、仕掛かる部品の選択肢が増えるというわけです。

これは、後工程の人にとっても「前倒し」方式をとることができますし、何より日中昼間と夜間無人加工の都合や、担当者のスキルの違いなど、諸々の都合を考えた段取りの選択肢が増えて、結果、稼働率や出来高を増やすことにつながります。

なお、「前倒し」方式のデメリットのところに挙がっていた「仕事が多く詰まっている時は、一つひとつの仕事にかかる時間を正しく見積もって計画しないと、詰め込み過ぎて締め切り期日を過ぎてしまう仕事が出てしまうリスクがある」ですが、オーバーフローしたときは、逆の「後ろ詰め」方式をとって、着手日を(工程)納期から逆算することが、その対策になります。

これによって、いつから仕掛かれば間に合うかが明確になり、よく現場の「あるある」なのですが、まずはやれる時間まで残業して、どこまで進むか様子を見てからその後どうするかを決めようといった、漠然とした現場に負荷をかけるやり方を回避することができます。

これについては、個人の処世術というより会社としての取り組みになり、以前本編のコラムでも取り上げていますのでここまでにします。

さて「前倒し」方式について良いことばかりは書きません。私の経験上「前倒し」方式が適さない会社に勤めていたことがあります。

人事評価が引き算方式だった会社です。そこでは毎月の基本給は低めで設定され、ボーナスで年収とのバランスをとる会社でした。

そして何か仕事でミスをすると、点数方式でボーナスから減点および、減額されていく仕組みになっていました。一方、加算されていく側は、改善提案をするとその貢献度によってボーナスがプラスされていくのですが、仕事量をどれだけ多くやったかについてはモニタリングされておらず、また評価の対象にはなっていませんでした。

こうなると「前倒し」でどんどん仕事を人より多く受けていくと、ミスで減額されるリスクだけが上積みされることになり、ここは本能的に受ける仕事は最小限にしなければと考えざるを得ませんでした。

結果、私はそこでの仕事は合わず転職することにしました。もちろんこの会社の方式で評価を受けている人もいます(ただし今はコンサルタントとして、この仕組みが会社として出来高を増やせるかどうかには疑問があります)。

まとめ(勝ち組社員になるために)

さて、ここで今回の内容をまとめてみますと、

  1. 受けた仕事をいつ着手するかの決め方について、前倒しと後ろ詰め、2つの方式がある。
  2. 会社としては「前倒し」の方がより良い成果を出せることが多い。「後ろ詰め」方式は、会社としてメリットは得られにくい。
  3. 個人の都合をどう考えるかによって、前倒しと後ろ詰め、自分にとってどちらが望ましいかが異なる。
  4. 出来高を評価してもらえる会社であれば、「前倒し」方式で仕事をすることは処世術的に望ましい。

と、いったところでしょうか。

昨今話題になることが多い「働き甲斐がある職場」というキーワードですが、それが実現できる会社の取り組みの一例として、ある程度自分で色々と決められる職場であるとか、意味や価値のある仕事をしていることが実感できるとか、上司や経営者から承認してもらえる、などが挙げられるそうです。

今回のテーマである「前倒し」方式で、自ら計画を立てて能動的に仕事をしていくことは、この感覚に近いのではないでしょうか。

「後ろ詰め」方式で、会社や営業がとってきた仕事を、受動的に「いつからやらないと」と日々追い立てられるように仕事をしているよりも、前倒しで「今日はどこまでやれるか」の感覚で仕事をする方が、会社に貢献していると実感できるかもしれません。

金型メーカーや部品加工メーカーでお仕事をされるできるだけ多くの人が、「働き甲斐」を感じながら仕事ができることを切に願っております。

今回も参考になれば幸いです。

※ 会社ごとに評価の基準も異なるため、本内容は結果を保証するものではありませんのでご了承ください。

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

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